小西康陽ニューアルバム『失恋と得恋』、10/30(水)発売!

2024/9/30 [ CD , KONISHI ]

小西さんのニューアルバム『失恋と得恋』が10/30(水)発売されます!前作『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』から4年ぶり、今回は小西康陽名義でのリリースとなります。


収録された楽曲の多くは、昨年、丸の内コットンクラブにて行われた公演「小西康陽・東京丸の内」のために編曲されたもの。あの日、バックをつとめたピアノ、ベース、ドラムス、ギター、チェロ、5人編成のアンサンブル・メンバーが再集結、ピチカート・ファイヴ時代のレパートリーを中心に、他アーティストへの提供曲やカバー曲を小西さんが歌います。数多くのアルバムを生み出してきた小西さんですが、スタジオレコーディングした自身のヴォーカル・アルバムは初作品となります。どうぞご期待下さい!

readymade-shoppingでは、本日より購入予約受付をスタートします。readymade-shoppingでお買い上げの方には、お客様のお名前と小西さんの直筆サインが入った一枚をお届けします。発送まで少々お時間をいただきますが、是非この機会にご利用ください。さらに予約先着特典としてステッカーもご用意しました。数に限りがございますので、ご予約はお早めに。

小西康陽『失恋と得恋』(ユニバーサル クラシックス&ジャズ)
UCCJ-2240 ¥3,520(税込)
2024年10月30日(水)発売

小西さんによるコメントと収録曲はこちら↓

小西康陽です。ご無沙汰しています。
 突然ですが、このたび新しいアルバムを作りました。それも今回はピチカート・ワンの名義ではなく、個人名でリリースすることになりました。
 内容を簡単にご説明するならば、昨年2024年の8月に丸の内コットンクラブで行なったライヴ『小西康陽・東京丸の内』が好評で、この演奏メンバー、このスコアでそのままスタジオ録音をしてはどうか、という企画が持ち上がり、それで制作することになったアルバム、と言えばよいのでしょうか。
 2022年8月にノラオンナさんに誘われて弾き語りを行なったライヴ『とまり木にて3』以来、矢舟テツローさんのご紹介で2022年11月に町田まほろ座で行なった『小西康陽、小西康陽を歌う』および2023年2月、3月のアンコール公演、また2023年5月にドレスコーズ志磨遼平さんにお誘いいただきQ.A.S.B.と行なったライヴ、あるいは都内や全国各地で行なった弾き語りのライヴなど、自分としてはどれも記憶に残る演奏を連続して行なうことができた、たいへんに充実した期間でしたが、いっぽう、それを音源化、作品化したい、という気持ちはなぜかまったく生まれてきませんでした。やはり心のどこかに、ライヴは1回限りのもの、という考えがあったからでしょうか。
 それでも『小西康陽・東京丸の内』というライヴは、思いがけず最高のミュージシャンの皆様が揃い、福富幸宏さんのご協力によって満足のいく譜面も準備することができたので、せっかくだからレコーディングしようか、という気持ちになって、約1年の時間が経った2024年7月にスタジオ入りしました。ピチカート・ワンの名義ではなく、個人名義を選んだのは、前作の『前夜』のように予めライヴ・レコーディングをしよう、というアイデアを持って制作したわけではない、やはり「せっかくだから」という気持ちがあったからなのだと思います。
 とはいえ、いざスタジオでレコーディングしてみると、これはライヴとはまったく異なる感触があって、驚きがありました。とくにチェロを交えたアンサンブル、あるいはドラムレスの編成では演奏にシリアスな表情が見え隠れして、それをうまく利用した曲もあれば、なんとか軽快な印象を与えることができるように試行錯誤をくりかえしたトラックもありました。やはり音楽は面白い、こうしてレコーディングするチャンスをもらうことができたじぶんはラッキーだったのだ、と気づきました。さらにもうひとつ、歌入れが終わる頃になってようやく、もしかしたらじぶんがスタジオでレコーディングしたヴォーカル・アルバムを吹き込むチャンスなんて、生涯に一度きりだったのかもしれない、ということにも気がつきました。さすがにそのことに気づいた夜は、もっとほかのレパートリーを選ぶべきだったかもしれない、と考えてしまいましたが、翌朝、目を覚ましたときには、ああ、この選曲でよかったのかも、と思い直すことができました。
 その収録曲ですが、『東京丸の内』のライヴで披露した曲は11曲。「そして今でも」「動物園にて」「むかし私が愛した人」の3曲は町田まほろ座のときのレパートリーから選びました。「美しい星」「私の人生、人生の夏」は以前『わたくしの二十世紀』にも収録していますし、「きみになりたい」に至っては『わたくしの二十世紀』『前夜』と3作続けての収録で、どうしたものか、と悩みましたが、尊敬する作曲家・浜口庫之助さんは5枚のこしたヴォーカル・アルバムのうち4枚に「粋な別れ」を収録していましたし、マルコス・ヴァーリなども初期には代表的なレパートリーをくりかえしレコーディングしています。だから無問題、とここは考えることにしました。
 さてここまで、じぶんのヴォーカルのことには触れませんでしたが、やはりアルバムのうちの12曲を歌ってみてつくづく思ったのは、野宮真貴さん、田島貴男さん、佐々木麻美子さん、高浪慶太郎さん、野本かりあさん、夏木マリさん、池田聡さん、花田裕之さん、吉岡忍さん、akikoさん、水森亜土さん、八代亜紀さん、そしてここには書ききれないほどの、かつてその歌をレコーディングさせていただいたヴォーカリストの皆さまの素晴らしさのこと。それにひきかえ、じぶんの歌は。どうしてもうまく歌えないいくつかの曲は、作詞作曲家の特権を利用してメロディを歌い易く変えたり、ずいぶんと「ずる」をしています。とはいえ、ピッチを直したり、という波形編集作業はほとんど無し。そのかわり、年齢からくる発音、滑舌、ディクションの不味さも残念なくらいにそのままで、どうか皆さまのお耳をさっと通り過ぎてくださいますように。もう35年ものお付き合いになるエンジニアの廣瀬修さん、やはり長いお付き合いのマスタリング・エンジニアの茅根裕司さんと目指したのは、とにかく「二十世紀のサウンド」でしたが、皆さまの耳にはどのように響くのか。
 信藤三雄さんが亡くなって、今回はジャケット写真をどうしよう、と考えていましたが、幸いなことにかつてグラフィック・デザイナーの真舘嘉浩さんと『窓に明りがともる。』という三人展を行なった写真家・川上尚見さんがポートレイトを撮ってくださいました。真舘さんも亡くなってしまったんだよな。ジャケットに使った写真は、もしかしたらこの39年間に他人に撮影していただいたすべての写真の中でいちばん気に入っている一枚かもしれません。また他のカットで着ている夏服は大好きなキャピタル・ヒル・プロダクトの城島禎さんに作っていただいたスーツ。ありがとうございます。例によって吉永祐介さんが全てのデザインを担当してくださいました。
 アルバムの発売は10月30日。このレコーディング・メンバー、つまり2023年の『東京丸の内』と同じ演奏家の方々と、東京・大阪・福岡でのライヴも予定しています。本日はひとまず、この辺で。

収録曲
01. 心の欠片
02. 東京は夜の七時
03. 衛星中継
04. 私の人生、人生の夏
05. あなたのことがわからない
06. そして今でも
07. 悲しい歌
08. 朝
09. 陽の当たる大通り
10. むかし私が愛した人
11. きみになりたい
12. 動物園にて
13. 眠そうな二人
14. 美しい星
15. 心

全作詞・作曲:小西康陽
心の欠片、心 作曲:林光
朝 作詞・作曲:若林純夫

produced by 小西康陽

musicians:
矢舟テツロー:piano
鈴木克人:bass
柿澤龍介:drums
田辺充邦:guitar
平山織絵:cello
岡淳:also saxophone(むかし私が愛した人)
小西康陽:vocal

UNIVERSAL MUSIC : 小西康陽オフィシャル