小西さんからメッセージが届きました!

2011/7/14 [ KONISHI , NEWS , VINYL ]

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 小西康陽です。本日、ぼくの手許にも『11のとても悲しい歌』のアナログ盤が届きました。いま、自宅のレコードプレイヤーでA面の頭に針を下ろしたところです。あれ、音が小さいかな? と思ったのですが、たしか1曲目の「ひとりで眠ることを学ぶ」というトラックは、自分の判断でCDよりも更にほんの少しだけ、レヴェルを下げたのでした。2曲目の「ワン」からは思った通り、とても柔らかく深みのある音で、片面に20分以上を収録してはいますが、聴感上のレヴェルも決して小さく感じることはないはずです。 東洋化成でのカッティングとプレスは、このアルバムに相応しい音色を用意してくれたと思います。

 曲順がCDと少しだけ異なるのですが、それもA・B両面の収録時間をなるべく揃えるために変えました。CDの1曲目からちょうど20分くらいまでをA面、その後をB面に、とすると、ちょうどA面の最後が「 a day in the life of a fool」、そしてB面の冒頭に「if you went away」が来ることになります。この2曲はどうしてもひと繋がりで聴いて戴きたかったので、思い切って曲順を替えてみることにしたのです。

 考えたのは、
・「bang bang」をB面に送る。
・「I wanna be loved by you」をB面に送る。
・「maybe tomorrow」をA面の最後に置き、「 a day in the life of a fool」と「if you went away」をB面の冒頭に配置する。
という3つの曲順でしたが、いちばん違和感の少なかった2番目のアイデアを採用しました。

 曲順よりももっと大きく変更したのはジャケット・デザインですが、この写真を12枚、画面を12分割、というアイデアは最初から考えていたもののひとつ。ただ、これはCDでは出来ないアイデアかな、と思っていました。まあ、こういうのを昔からやってみたかったのです。

 ジャケットに関して、もう少し。本当は1960年代終わり頃のアメリカ盤のような、段ボールに似た紙質で、フリップバックではない型、つまり<A式>で作ってみたかったのですが、どうも理想のカタチにならないので、結局フリップバック・コーティングのジャケットとしました。前園直樹グループのジャケットに似た、イギリス風、というか、和風のペラジャケです。

 英語の歌詞カードはありませんが、奥田祐士さんによる歌詞対訳はペラ一枚のカードにして添付してあります。CDに添付したブックレット形式だと、ややコストが嵩むことが判ったので。その替わりに、この歌詞対訳カードはピチカート・ファイヴ『カップルズ』のアナログ盤の歌詞カードと同じ大きさにしてあります。これも理由は「コレが好きだったので」、という他にありません。

 CDとアナログLP、どちらが良いか、などということは出来ませんが、ぼくはアナログ盤に対して大いに愛着を感じています。さらに言えば、1960年代後半から1970年代前半にかけて作られたポピュラー・ヴォーカルやフォークやロックのアナログ盤の温もりのある音色や、途中でA面からB面に引っくり返す、という幕間を挟んで約40分前後でひと連なり、という長さを最も好ましい物である、と普段から考えている人間が作ったアルバムなのですから、アナログ盤でリリースすること、そしてアナログ盤で聴くことをどこか「あるべき姿」、とさえ考えている訳です。

 これは中学生から高校生にかけて、カットアウトやドリルホールのある安い輸入盤や、中古レコードを買うことを覚えて、すっかりシングル盤よりもLPを聴いたり集めたりすることのほうが好きになってしまった音楽ファンが、ようやく作ったアルバムです。ですから、このソロ・アルバムのアナログ盤を作ったいまは、自分のレコード人生がようやく大きくひと巡りしたような気分なのです。だからといって、とくに感慨もないのですが。

 とはいえ、今後、リマスター盤も、ボーナス・テイクを加えたデラックス・エディションも出す予定は全くありませんから、この「作者の妄想上のオリジナル・ヴァージョン」であるところのアナログ盤、ぜひ手に入れて聴いてみて戴きたいのです。

 クリストファー・スミスさんに歌って戴いた「maybe tomorrow」は作っていた時から、なぜかずっと米国・OVATION レーベルのサウンドだなあ、とか、ロージーさんに歌って戴いた「ワン」は、何となく初期のASYLUMレーベルっぽい感じだなあ、などと考えながら聴いていたのですが、アナログで聴くとますますそんな気分が高まります。繰り返し聴いて、早く中古盤のEX- くらいの音質にならないものか、と考えております。どこかのクラブのような悪い針・重い針圧で聴けば、すぐにそんな感じになるのだと思いますけれども。 

 ミック・ジャガーが海の向こうのシカゴのチェス・レコード社から直接、通販でチャック・べリーやボ・ディドリーのアルバムを取り寄せたように、あなたもこのアルバムの原盤会社であるレディメイドから直接、このアナログ盤をお求めになってはいかがでしょうか。お望みでしたら、アーティストのサインも、あなたのお名前を書くことも、お安い御用です。

 もちろん、あなたのお好きなレコードショップで、他のレコードと一緒にお買い求め下さっても結構です。このアルバムを取り扱ってくださるお店は、ぼくにとってもお気に入りのレコードショップですので。では、早く皆さまのお手許にも届きますように。

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